配信先によるのですが、音楽配信からのリリースだと収録曲に関しての解説などをご覧いただく場所がほとんどありません。今回リリースしました「アヴェ・マリア」曲集について、それぞれの曲の解説をこちらですることにしてみます。

「アヴェ・マリア」

アヴェ・マリア(Ave Maria)というのはラテン語で「こんにちは、マリア」または「おめでとう、マリア」を意味します。このアヴェ・マリアという言葉から始まるカトリック教会の聖母マリアへの祈祷をアヴェ・マリアと呼びます。

聖書のルカによる福音書を中心にしたマリアを讃える祈祷文が決まっていて、「アヴェ・マリア」というタイトルを持つ曲の多くはそのラテン語の祈祷文を歌詞としています。アヴェ・マリアの祈祷文を歌詞にしていない「アヴェ・マリア」もあって、歌詞のない器楽曲の「アヴェ・マリア」もあります。教会音楽としてということだけではなく、広い意味でマリアを讃える音楽に「アヴェ・マリア」というタイトルがつけられているということみたいですね。

グノーの「アヴェ・マリア」

シャルル・フランソワ・グノー(1818-1893)はフランスの作曲家で、「ファウスト」「ロメオとジュリエット」などのオペラ作品、多くの声楽曲や合唱曲、二曲の交響曲などを残しています。私がグノーの曲として特に馴染みがあるのは、アルフレッド・ヒッチコックのテレビシリーズ「ヒッチコック劇場」のテーマ音楽として使われていた「操り人形の葬送行進曲」です。日本のテレビで「ヒッチコック劇場」が放送されていたのは私が生まれる前の話ですが、その後のリメイク版を見た記憶があるのでしょうか、ヒッチコックの姿と熊倉一雄の吹き替えとこの音楽はセットで記憶の中にあります。

グノーの「アヴェ・マリア」は1859年にヨハン・セバスティアン・バッハの「平均率クラヴィーア曲集第一巻」の「前奏曲第一番ハ長調BWV846」を伴奏にしてラテン語のアヴェ・マリアの祈祷文を歌詞としてメロディーを加える形で作曲されました。バッハの鍵盤楽器のために書かれた曲に新たなメロディーをグノーが加えてこの曲ができているという形です。現在、鍵盤楽器の曲として演奏されるバッハの前奏曲よりも一小節多くなっています。どうやらシュベンケという人の版ということのようですが、詳細はよくわからないです。メロディーがきれいに収まるのでこれでよかったということなのかもしれませんね。

そのようにしてできている曲なので、今回のアヴェ・マリア曲集の中では「グノー(バッハ)のアヴェ・マリア」という形で表記しました。数ある「アヴェ・マリア」の中でも最も有名なものの一つですから、一度は耳にしたことのあるメロディーではないでしょうか。

シンセサイザーでのアレンジは、音色をどうするのかというところが中心になりました。あんまり元の楽譜にないものを足そうとしても蛇足になるだけという気がしましたので、あまり出しゃばらずに歌を聴いていただけるようにと考えて作りました。

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