今 敏監督の訃報に触れて、体に力が入らないような感じがしています。
「オハヨウ」という短編でご一緒させていただいて、何としてももう一度お仕事をさせていただくことができれば、と思っていたのですが…。

「さようなら」と題されたお別れの文章を読みました。
何度もリロードして、ようやく読むことができました。
今監督の作品と同じく、美しくて、強くて、優しくて、愛に満ちた文章でした。
「アニ・クリ15」の打ち上げの時、学校の授業があって遅れて行ったワタシを見つけて、「あ、来た来た。」といった感じで、にこやかにこちらに向かって手をあげて下さった時の笑顔を思い出します。
その頃ちょっと気分が優れないようなことが続いていたのですが、その笑顔で、すごく救われたような気持ちにしていただけたことは忘れられません。

「オハヨウ」の後しばらくしてから、今監督の「十年の土産」と題された個展にお邪魔しました。会場で「パプリカ」のDVDを購入したのですが、オマケということで、監督自ら選んでくださった「パーフェクトブルー」のセル画をいただきました。「オハヨウ」とちょっと似た、未麻が歯を磨いているシーンのものです。
なんだか嬉しがりのようで恥ずかしくて、そのことはお話ししませんでしたが、その足で世界堂に寄って額装してもらいました。今も家に飾っています。

ちょうど仕事場として使うスタジオを作ることにしようかと考えていた時だったので、新スタジオに飾る絵をお願いしたところ、スタジオ見学を兼ねて持って来てくださるというお話になったので、楽しみにしていたのですが、急用で叶わなかったことはとても残念です。そのうち、新作の「夢見る機械」の準備でお忙しくなられた様子だったので、完成して落ち着かれた所を見計らって、是非ともお越しいただこうと目論んでいたのですが…。

こうして書いていると、細々した記憶が次々に出て来て弱ってしまいます。MA作業の合間に、喫煙所で「最近吸えるところ少なくなりましたよね。」なんて少しお話ししたこととか…。
ワタシの方は三月程前に(健康のためばかりではないのですが)タバコ、止めちゃいましたよ…。
ワタシのつまらない話も熱心に聞いて下さっていたのに、もう少しいろんなことお話させていただきたかったです。極度に人見知りな自分が恨めしいです。

短い作品を一度だけだったとしても、一緒に何かを作らせて頂けたことは、ワタシの誇りです。

そのうちワタシもそちらへ参りますが、もう少し先の予定ですので、しばらくお待ち下さい。今度は、チョット鬱陶しい位、しつこく話しかけますから。おつき合い下さいませ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です